首切りありきの事業譲渡は許さない、
経営者は雇用責任を果たせ

 2004年11月11日、RSAグループ(ロイヤル・アンド・サンアライアンス・インシュアランス・グループ)は、日本における保険契約資産をAIGグループに売却することについて基本合意に達したと発表した。同日同時刻、日本におけるRSAグループ(ロイヤル・アンド・サンアライアンス・インシュアランス・ピーエルシー、ザ・ロンドン・アッシュアランス)は、保険契約資産売却の基本合意に基づく国内での包括移転を2005年の第一四半期までに完了させ、全従業員を解雇すると発表した。RSAグループは今回の売却理由を、グループによる資本の有効活用戦略による海外本社の判断であるとした。

 このあまりに唐突な発表と内容に、わたしたちは大きな衝撃を受けると同時に、従業員の雇用をいとも簡単に切り捨てる行為に強い怒りを感じざるを得ない。発表内容によれば、そもそも買収相手側が従業員抜き(保険契約資産のみ)を買収条件としていたとのことであり、経営は、従業員抜きの前提で水面下での買収交渉を進めた。基本合意に達しても、雇用責任について具体的な表明はなく、解雇回避義務は、検討はおろか何ら果たされていない。

 また、日本におけるAIGグループとの包括移転契約の締結が基本合意発表からわずか二週間後に予定されており、保険業法上、当該日からRSAグループによる保険契約締結が禁止される。 発表後も、包括移転の業務自体が社内に十分に説明されていないなかで、契約者、代理店等の大きな混乱が予想される。

 RSAグループは、買い手の"従業員は付けない"という条件をのんで今回の計画をすすめてきた。買い手からの条件とされた従業員抜きの保険資産のみ売却は、RSAグループ(本国)にとって満足な内容であったという。ビジネスの売り買いを海外で決められたのであるから、日本におけるRSAグループの事業自体が原因で撤退に追い込まれたのでない。

 日本におけるRSAグループではたらくわたしたちは、ここ数年の度重なる合理化や人員削減に耐え、グループ指示による引受規制強化の下で、契約者・代理店との関係を必死の思いで維持してきた。これでは、まるで、売却する商品(保険資産)をより良い商品にするために利用されてきたようなものである。わたしたちのこれまでの努力と誠意は、完全に踏みにじられた。

 今回のAIGグループとの基本合意と同時に、RSAグループ(本国)はグループの業績回復の展望を全世界に発信した。資本のみが全てに優先され、顧客は後回しに、そして従業員の雇用は無視された。基本合意発表からわずか二週間後に国内の包括移転契約を結び、早急に移転業務を進め、さっさとわたしたちを切り捨てるという、従業員・組合員のはたらきと生活そして人としての感情を全く無視した行為は断じて許しがたい。

 首切りありきの事業譲渡は許さない。
経営には雇用主として、従業員の雇用について具体的な責任を果たす義務がある。
わたしたちは、経営がその責任を果たすまで、あらゆる手段を講じ総力を挙げてたたかう決意である。


 2004年11月15日
全日本損害保険労働組合
R&S支部 執行委員会





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