春闘宣言


 いま、「改革」の名の下で、この国のあらゆる領域を市場原理でつくりかえようとする動きが強められています。すでにこの国の社会は、格差と貧困、企業不祥事とモラルハザード、地方経済の衰退、政治の腐敗と貧困化がひろがり、退廃を実感させる事件が連日のように続いています。政府・財界は、この被害と矛盾を招いた「改革」をさらに加速させ、その先に「希望の国」、「美しい国」が来ると唱え、すべてを受け入れるように国民・労働者に迫っています。同時に、教育基本法の改悪、防衛省の発足なども強行し、日米同盟を強化しながら、「戦争ができる国」をつくる準備も足早に進めています。急を告げる憲法改悪の核心も、現行憲法と相容れない、このような身勝手な明日を実現させることにあります。
 金融では、「金融改革プログラム」の名で、市場原理絶対の金融システム作りが進められています。この中で損保「自由化」も新局面を迎え、弱肉強食の競争がまかりとおる産業への変質が進んでいます。「保険金不払い問題」、「火災保険料取り過ぎ問題」は、本来、損保「自由化」の見直しを迫るものですが、この局面の深まりと一体となる根本的な矛盾を宿しています。そして、この競争は、東京海上日動社の契約係従業員制度廃止に見られる「やらなかったこと、やれなかったこと」に手をかける競争となりつつあり、損保の職場には悲鳴があがり、疲弊感が広がっています。この先に、補償機能の提供という社会的役割を果たす、真に「健全」な産業像を描くことはできません。
 以上のような、あまりに乱暴で強引な動きは、被害と矛盾を解消するのではなく、さらに深刻な事態をもたらすものです。その実相は誰の目にも明らかになり、早晩、化けの皮ははげることは明らかです。ここに現状を変える可能性があることを見逃してはならず、現に前進を手にする国民・労働者のたたかいも数多く生まれています。損保産業でも、「自由化」新局面が深まるほど、損保労働者への被害と矛盾は大きくなり、同時に、産業と社会的役割は切り離され、展望は見通せなくなる一方となります。損保経営者の「危機感」も、この道標なき競争への不安に他なりません。だからこそいま、私たちは、この産業、この職場、私たち一人ひとりの明日への視座を定めて主張し、確信をもって運動を進めることが何より重要です。
 私たちは、この確信を胸に、2007年春闘を、「自由化」新局面に直面するたたかいとして、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、の3本の柱で構築します。各支部・地協がたたかう統一闘争、「緊急提起 損保産業・再生の視点」、「働くためのコンプライアンス」ハンドブックを活用した産業民主化の運動、「勝利判決を守らせ、全面解決を決断させる2週間総行動」を構える日動外勤支部のたたかいを重点に、諸要求、諸課題実現のために幅広く主張と運動をすすめます。
 本日確立された春闘方針のもと、職場で、地域で、機関が一体となって、2007年春闘を意気高くたたかうことをここに宣言します。


2007年3月14日
全日本損害保険労働組合
第86回中央委員会




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