秋のたたかいに意気高くとりくむ決議

 世界経済危機以降、国際協調による金融規制を再構築する動きがある一方で、欧州経済の不安の強まり、アメリカの財政問題の深刻化、新興国の景気失速などにより、世界経済は不安定で、その先行きは不透明さを増しています。日本では、東日本大震災が日本経済全体に深刻で大きなダメージを与え、その影響も長期にわたることが想定されます。そして、こうした事態を乗り切るために、財界、大企業本位で、国民・労働者にはさらに犠牲が押し付けられようとしており、日本経済の「空洞化」への懸念も高まっています。しかし、大震災からの復興、原発事故への対応を一刻も早くすすめなければならない政治は、方向が定まらず、国民不在のものとなっています。
 こうした状況は、損保業界にも大きな影響を与えています。多額の保険金支払いに加え、震災による保険対象物の滅失や再保険料率の引き上げが各社の収益を圧迫することになります。そのため、深化する再編「合理化」情勢のもと、損保経営はさらに危機感を強め、さらなる収益強化をめざそうとしています。したがって、全社を挙げてすすめられた大震災への対応のように、働く者の生活や労働条件がますます「競争の具」とされ、悪化することが危惧されています。そして、こうした「歪み」が職場にふりまかれ、働く者の不安も大きくなっています。  しかし、東日本大震災を経験した私たち国民の間では、原子力発電に対する危機意識が高まり、震災からの一刻も早い復興を求める声が強まっています。そして、従来の政治や経済のあり方を転換させようという流れも止んでいません。私たちは、不透明ではあっても、国民・労働者が大切にされる「次の時代」を争う激しいせめぎ合いのなかにいます。展望ある明日を手にする力は、国民・労働者の声です。健全な損保産業の明日も、働きがいのある仕事や生活も、働く者の声があってはじめて実現します。
 新年度、私たちは、このような情勢に向き合い、労働組合の役割を追求していきます。そのために、○人間らしさと一人ひとりの思いを大切にする、○働く者が支え合う拠り所となる、○自分たちのことは自分たちで答を出す、○自ら声を出し次の時代をきりひらく、の4つの視点を重視します。そして、企業や職場の枠を越えてみんなで答えを見出してきた「全損保らしさ」を大切に、5回目となる「一人一言」運動を軸にとりくみをすすめていきます。
 秋のたたかいは、そのスタートです。私たちは、雇用と人間らしく働ける職場を守る、損保産業の社会的役割を守る、人間を大切にする労働組合として奮闘する3本の柱でとりくみをすすめます。組合員一人ひとりのため、この労働組合に確信をもって、秋のたたかいで意気高く奮闘することを、ここに決議します。

2011年9月22日
第68回全損保定期全国大会



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