2015年春闘アピール

確信と展望 職場からいまをただし、
共感を広げたたかう2015年春闘

 組合員のみなさん
 アメリカでは量的緩和終了後も堅調に景気が回復しているものの、ユーロ圏でのデフレ懸念の強まり、中国での成長鈍化、新興国における原油価格の暴落や通貨の下落などによる景気の下ぶれなど、市場の動きが不安定ななか、世界経済は、「危機」再燃の懸念も指摘され、その先行きは不透明で容易に定まってはいません。
 日本では、「アベノミクス」がもたらした株価上昇と円安が、大企業の業績を上昇させ過去最高益を生みだす企業も多くなっています。しかし、その「実り」は輸出中心の大企業にのみもたらされ、円安の副作用ともいえる原材料など輸入価格の高騰と物価上昇が、中小企業や家計に「重し」となり、11月の実質賃金が17ヵ月連続で減少し消費が伸び悩むなど、景気回復には程遠い状況が明らかとなっています。
 こうしたなか、賃金を引き上げることで消費税のさらなる増税に向けた環境整備をはかりたいとする安倍首相は、政労使会議を昨年に引き続き開催し、「政府の環境整備の取り組みの下、経済界は賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図る」との合意を取り付けました。しかし、「ベースアップは選択肢の一つ」と強調する財界の姿勢からは、全体の賃金底上げが容易でない事は明らかです。
 安倍政権は、12月総選挙の結果から「国民の信任を得た」として、「世界で一番企業が活動しやすい国」に向けた政策を一気に進めようとしています。法人税引き下げや社会保障費削減、労働分野をはじめとした各分野での規制緩和の検討・実施、集団的自衛権の行使容認の具体化を柱とした安全保障戦略の見直し、原発輸出・再稼働の推進など、どれも国民・労働者の生活や雇用、平和と民主主義を脅かすものです。よって、私たちには、春闘を通じて、国民的課題にも視野広くとりくむことも求められます。
 損保では、2014年中間決算にて主要7社すべてが収支残、最終利益黒字を確保し、着実に業績を回復させてきています。しかし、各社は、国内市場の縮小、多発する自然災害、高騰する損害率、消費税増税の影響などから、顧客囲い込みや収益力強化に躍起となり、将来に向けた安定的な収益基盤の確立を追求しています。よって、各経営は、引き続き強い危機感や焦燥感のもと、春闘においても全体情勢における「賃上げ」とは一線を画して、厳しい出方となることが十分想定されます。また、事業再編や合併、事業費削減の具体施策が急ピッチで進められることから、損保の社会的役割が損なわれ、職場には歪みや矛盾が広がり、働くものに被害がもたらされることにもなります。
 2015年春闘要求構築においてとりくんだアンケートでは、会社、賃金、雇用への「将来不安」、押しつけられる矛盾や被害への不満が損保に働くものすべての共通項であること、そして、私たちの将来を確かなものにしたいという要求と労働組合への期待の高まりが明らかとなっています。こうした一方で、各経営にとっては、政策を進めていくうえで、労働者一人ひとりの頑張りが必要不可欠であることから、その真摯な主張には耳を傾けざるをえなくなっています。よって、私たちは、確信をもって、働くものの声と思いを主張していくことが求められます。


 組合員のみなさん
 2015年春闘は、先行き不透明に深まる損保情勢のもと、オルグや懇談会、アンケートなどで明らかとなった一人ひとりの思いを大切に、すべての組合員がこの労働組合に結集し、明日への展望をきりひらくためにたたかう春闘です。
私たちはこの春闘で、
情勢の根幹を握って離さず、これまでの春闘の到達点に立って、労働組合の力と可能性に確信を持ち、「生活と雇用、労働条件を守る」という不動のスタンスのもと、職場からもっとも求められる労働組合の役割を追求します。
とりまく情勢、経営の出方を冷静に見定め、職場の現実を精緻に把握し、直面する課題に向き合い、「今、何をしなければならないのか」を十分見極め、職場の声と思いに結びついた主張を全面展開します。
お互いが直面する課題やとりくみを全体で共有し、納得と合意を大事に、統一闘争をすすめます。

 経営の一方的な出方を許さず、その手に委ねず、働くものの声と思いに立って、私たち自らの手で、働くもの一人ひとりの生活と職場を守り、明日をきりひらくため、主張と団結を力に、職場からいまをただし、共感を広げてこの春闘をたたかおうではありませんか。

2015年1月17日
全日本損害保険労働組合 支部地協代表者会議




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