2017年春闘アピール

全損保統一闘争のもと、
職場からいまをただし、
共感を広げたたかう2017年春闘

 組合員のみなさん
 世界経済の成長は極めて弱く、堅調なものとはなっていません。さらには、アメリカ次期政権が打ち出す経済政策、イギリスのEU離脱問題、「自国第一主義」の台頭、新興国経済の低迷など、その先行きが不透明なことから、金融市場の動向にも目が離せず世界全体の経済が不確実さを深めています。
 引続き異次元の金融緩和をすすめている日本経済も、世界の市場動向によって株価や為替が乱高下を繰り返すなど不安定な状況となっています。これまでの円安・株高によって莫大な利益をあげてきた大企業の業績にも陰りが見え始めたことから、各経営は「先行き不透明感」を強調し、蓄積した資金を労働者への賃金には回そうとしていません。昨春闘における賃金の引き上げ率は前年を下回り、物価の上昇懸念もあることから、個人消費が伸び悩むなど、国民・労働者には景気回復の実感はありません。
 こうしたなか、経済最優先で政策をすすめる安倍首相は、今春闘でも財界に対し4年連続で「賃上げ」を要請し、財界はそれに応える形で「年収ベースでの賃上げ」との姿勢を示していますが、あくまで「ベースアップ」は選択肢の一つとしており、全体の賃金底上げが容易でない事は明らかです。
 また安倍政権は、アメリカと財界の要望を入れ、あらゆる分野での規制改革を具体化するなかで、成長戦略をおしすすめています。そうした成長戦略の柱として「働き方改革」の必要性を強調し、長時間労働規制の見直しや非正規労働者の処遇改善を検討する一方で、「裁量労働制の対象拡大」や「高度プロフェッショナル制度の導入」の具体化など、労働者の働き方を経済政策の一環として変えようとしています。さらには社会保障の改悪も検討するなど、国民・労働者には暮らしや雇用への不安がひろがっています。そして、国民の思いに反して「戦争ができる国」へ突きすすむ動向も強まっています。
 損保における2016年度中間決算は、大手社をはじめ中堅社も業績は好調に推移しています。しかし、国内市場の縮小や不安定な経済状況、今後想定されるビジネスモデルの変化など将来に向けて事業環境が不透明なことから、各経営の危機感は強まっています。そのもとで、各社はマーケットシェア競争を激化させ、収益力を強化するために「合理化・効率化」の動きを一切緩めていません。そのもとで、損保に働くものの処遇や働き方が見直され、「労働生産性」を追求する動きも強まっています。こうしたことから、今春闘においても、昨春闘以上に経営の出方は厳しいものとなることが十分想定されます。また、こうした収益だけを追い求め、効率化を追求する過当競争がすすめば、損保の社会的役割が損なわれ、職場には歪みや矛盾が広がり、働くものに被害がもたらされることにもなります。
 2017年春闘要求構築においてとりくんだアンケートでは、会社、賃金、雇用、働き方への「将来不安」、押しつけられる矛盾や被害への不満が損保に働くものすべての共通項であること、そして、私たちの将来を確かなものにしたいという要求と労働組合への期待の高まりが明らかとなっています。各経営にとっても、政策実現をめざすうえで、労働者一人ひとりの頑張りが必要不可欠であることから、その真摯な主張には耳を傾けざるをえません。したがって、私たちは、確信をもって、働くものの声と思いを主張していくことが求められます。

 組合員のみなさん
 2017年春闘は、先行き不透明に深まる損保情勢のもと、秋のたたかいで明らかとなった一人ひとりの声と思いを大切に、経営の一方的な出方は許さず、その手に委ねることなく、自らの手で私たちの生活と職場を守り、明日への展望をきりひらくためにたたかう春闘です。私たちはこの春闘で、
各支部・独立分会の課題とたたかいを全体で共有し、それぞれの理解と納得を大事に、全組合員の知恵と力を結集して、ともに全損保統一闘争をたたかいます。
これまでの春闘の到達点に立ち、労働組合の力と可能性に確信をもち、共感を広げ主張と団結を力に、たたかいを職場から構築し、主体的にすすめます。
とりまく情勢、経営の出方を冷静に見定め、直面する課題、もたらされる事態には真正面から向き合い、「生活と雇用、労働条件を守る」という不動のスタンスのもと、職場の現実と思いに寄り添い、そのときどきに最も求められる労働組合の役割を追求します。

 すべての組合員がこの労働組合に結集し、全損保統一闘争のもと、職場からいまをただし、共感を広げて、主張と団結を力に、この春闘をともにたたかおうではありませんか。

2017年1月21日
全日本損害保険労働組合 支部独立分会代表者会議




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