「核兵器のない世界を」
〜被爆65年・広島原爆祈念日〜
誓いを引き継ぎ、願いを束ねて

平和の尊さを胸に刻み、平和と核兵器廃絶を誓う
平和の尊さを胸に刻み、平和と核兵器廃絶を誓う


 広島原爆祈念日〜8月6日は、核兵器も戦争もない未来を願う人々が、計り知れない犠牲の上に成り立っている平和の尊さを胸に刻み、平和への願いと核兵器廃絶の誓いをますます強くする日となりました。
 「被爆65年 原爆死没者慰霊式・平和祈念式」では、今も増え続ける原爆犠牲者(この1年間で5501人が亡くなった)への哀悼と世界平和への祈りが捧げられました。「平和宣言」に立った秋葉広島市長は、核兵器のない世界の実現は「人類が死力を尽くして遂行しなくてはならない責務」と呼びかけました。また、式典には、核兵器廃絶の国際世論の高まりを反映して、国連の潘基文事務総長、米国政府代表のジョン・ルース駐日大使も参列し、潘事務総長はあいさつで「被爆者の方々が生きている間に核兵器廃絶を実現しよう」と呼びかけました。
 世界では、核兵器廃絶の世論が高まるその一方で、局地的な戦争、紛争とテロの頻発など、多くの理不尽な命の犠牲をかさね続けています。こうした期待と緊張の中で、広島原爆祈念日にむけ8月4日から「原水爆禁止2010年世界大会」が広島で開催されました。大会は、世界各国代表、全国各地の草の根の市民8000名がつどい、『「核兵器のない世界」が国際政治の明確な目標となったいま、次に求められるのはその実現のための具体的行動』であり、被爆者とともに進めようと宣言しました。
 全損保では大会に連帯してとりくみ、各支部・地協からの仲間が世界大会への参加(13名)とともに、「慰霊碑めぐり(19名)」・「損保平和交流集会」・「損保従業員原爆犠牲者慰霊祭」を開催しました。

碑めぐり〜損保平和交流集会、そして損保慰霊祭
  なぜ あの日はあった
  なぜ いまもつづく
  忘れまい
  あのにくしみを
  この誓いを
 これは、広島平和記念公園内にある、全損保の慰霊碑の碑文です。原爆投下当時、広島市内では200名を超える人が損保で働き、原爆で89名の方が犠牲となり私たちの先輩は慰霊碑を建立しました。
 全損保は、結成当初から「平和のとりくみ」を続けており、碑文に込められた誓いを受け継いでとりくみを行っています。
 被爆65年「2010年・平和のとりくみ」では、「日本平和大会in神奈川(12月)」や「3・1ビキニデー(3月)」へ代表派遣、それぞれ開催地の仲間とともに「損保交流会」を開催、5月のNPT再検討会議・NY国際行動では「全損保代表団(5名)」を派遣、など年間を通じて世界の核兵器廃絶・平和を求める仲間や運動に連帯してすすめてきました。そして広島原爆祈念日を中心としたとりくみは、こうした一年間の「平和のとりくみ」のまとめと次年度「平和のとりくみ」の新たなスタートとなっています。

【碑めぐり】 碑に刻まれてきた事実・現実・願いを受けとめて
碑に込められた怒りや願いに思いをはせる
碑に込められた怒りや願いに思いをはせる

 8月5日夕方、平和記念公園に、広島地協や全国から訪れた仲間19名が集まり、全損保東海支部OBの村田忠彦さん(ご自身も被爆者)をナビゲーターに、平和記念公園の慰霊碑や被爆モニュメントを巡りました。村田さんは、その碑がなぜ建立されたのか、碑に込められた怒りや願いを当時の惨状に重ねて丁寧に語っていきました。
 広島・長崎での「被爆の記憶」の風化が進んでいると言われていますが、参加者は、一瞬にしてこの場所この街が廃墟と化し20万余の命を奪った65年前の事実と、今もなお被爆者の心と身体を痛め続けている現実、次の損保平和交流集会会場の「アンデルセン」は原爆モニュメントでありそれを維持している努力・・・そうしたモニュメントに刻まれた「被爆の記憶」を受けとめるかのように真剣なまなざしで慰霊碑を見つめていました。

【損保平和交流集会】 平和への願いを束ねて形にしていこう
「NPT再検討会議・NY行動 全損保代表団」全員がそろう
「NPT再検討会議・NY行動 全損保代表団」全員がそろう


 5日夜は、50名の参加で損保平和交流集会を開催しました。集会では、原爆犠牲者に黙とうを捧げ、主催者を代表しあいさつに立った全損保・浦上書記長が、「NPT再検討会議・NY行動に参加し、核兵器廃絶を求める国際世論の高まりを感じた。核兵器廃絶への道は一歩ずつ前進しており、平和のとりくみを進める意味も大きい。一方、仲間の心が痛む組織問題が発生し全損保は立て直しに直面している。産業別労働組合の全損保らしさと、一人ひとりに何ができるのか何をするのかが結びついて、今日こうして集まれた。全損保らしさの維持と平和の探求のいずれも大切にして、今後も可能なことに一つ一つとりくんでいこう」と呼びかけました。
 その後、共栄支部・白石副委員長のあいさつ乾杯で乾杯となり、各支部・地協からの参加者の感想交流では、慰霊碑めぐりの感想や平和を守る大切さを自らの言葉で語り、参加者相互の懇親もなごやかにすすみました。
 また集会は、「NPT再検討会議・NY行動 全損保代表団」全員がそろう場となり、代表団5名がそろいのTシャツをまとい横断幕をひろげ壇上に上がると、ひときわ大きな拍手に包まれました。代表の一人ひとりがNY行動でのエピソードを披露しつつ語り、“核廃絶の世論の高まりと世界中に仲間がいること”“原爆投下・核兵器使用への怒り”“一人ひとり声をあげ行動することの大切さ”“全損保だからできること、全損保らしさを大事にしよう”という思いが共通していました。
 最後に「被爆65年(2010年)損保平和交流集会アピール 核兵器も、どんな戦争にも正義はありません 私たちの平和への願いを束ねて形にしていきましょう」が採択され、広島地協・塚本副議長の「被爆65年の節目をいいとりくみといい形で迎えることができました。ここから“核兵器のない平和で公正な世界”の実現を願って一人ひとりができることを始めていきましょう。そして来年もまた、ここに集まりましょう」の閉会のあいさつで集会が結ばれました。

【損保慰霊祭】 忘れず引き継ぐ、この誓い
参列の一人ひとりが献花
参列の一人ひとりが献花

 全損保は、日本の労働組合として唯一広島平和記念公園内に慰霊碑を持っています。
 翌6日は、原爆投下の8時15分に黙祷し、8時30分より「全損保の碑」前で、損保従業員原爆犠牲者慰霊祭がとりおこなわれました。毎年、原爆の犠牲となった損保従業員89名の御霊を慰め、核兵器のない恒久平和を祈念して開催しています。今年は、ご遺族も含め80名が参列しました。
 主催者を代表して全損保浦上書記長が「この日この場所に立たないと実感できない思いや空気がある。熱かっただろう当時に思いを致し、あらためて原爆投下への怒りと平和への決意を新たにする。決して忘れてはならないし、誓いを引き継いでこう」とあいさつしました。
 続いてご遺族代表があいさつされ、全損保・各支部・各地協、あいおい労組広島分会の献花、参列の一人ひとりの献花が行われました。
 平和は祈るだけで守ることはできません。世界でこの国で「あの日」を繰り返させてはなりません。全損保は、働くものの生活を守る労働組合の使命として、これからも「平和のとりくみ」をすすめていきます。

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