新年のごあいさつ

70年の歴史を土台に
全損保らしく歩みつづける

2020年1月 全損保中央執行委員長 浦上義人

 新年あけましておめでとうございます。
 さて、安倍政権の経済政策は、この間一部の大企業に巨額の利益をもたらしてきましたが、ここへきて不透明さを増す世界経済の影響を受け、企業業績にも停滞感が強まってきています。大量の国債とETFの購入で国の借金の肩代わりと株価を買い支える日銀の政策も、リスクが内在し行き詰まりは明らかです。そして、中小零細企業の経営は相変わらず厳しい状況に置かれ、地域経済は停滞し続けています。また、低水準の賃上げや物価上昇によって、実質賃金は先進国で唯一伸び悩んでおり、消費税増税、社会保障費の負担増などによる国民・労働者の将来不安の広がりが消費を低迷させ、景気回復を実感できない状況は続いています。

 損保産業では、相次ぐ大規模自然災害により保険金支払額が増加し、火災保険の損害率も急騰するなど、保険本業における収支が悪化し始めています。こうしたことに加え、多様化するリスクと顧客ニーズへの対応、IT化や技術革新に伴うビジネスモデルの変化など、事業環境の先行きが不透明なことを理由に、損保経営の危機感は強まっています。そのもとで、大手グループは、国内でのマーケットシェア競争を激化させ、海外事業の推進や新規事業領域での収益拡大をめざしています。中小社もこうした競争に巻き込まれていることから、各社の政策すべてが「収益力の強化」をめざしたものとなっており、労働生産性を追求する動きも強まっています。店舗の統廃合や事務集中による要員削減がすすめられ、役割や働き方の「改革」も全社に広がっています。また、災害対応では、労働実態の悪化が顕著になるとともに、「早期支払い」を指標とした競争となり、企業宣伝の具に使われるなど、産業の社会的役割が歪められています。こうした施策は、職場に多様な「歪み」をふりまき、働く仲間の雇用や生活、労働条件を脅かし、誇りと働きがいの喪失と「不安」が蔓延する職場をつくりだしています。

 このようななか迎えた2020年は、何よりも国民や働くものの声や願いが優先される1年にしていかなければなりません。そのためにも、いまが私たちの声と力で情勢が変えられる歴史的転換点であることに確信をもち、いのちとくらし、平和と民主主義を守るため、働くものが声をあげ、労働組合をいかして運動をすすめていくことが求められています。

 昨年11月5日、全損保は結成70周年を迎えました。70年の歴史を組合員へ伝え広げることを目的に記念事業の一環として作成した「70周年記念誌〜たたかいとる力を高めるために企業の枠をこえて」を全組合員に配布し、各職場で全損保70年の歴史を認識し合う運動を提起しました。さらには、「70周年記念レセプション」(9/20)、「70周年記念シンポジウム」(11/9)を開催し、産業別単一組織の良さと力、展望を確認し合いました。
 今年も、70周年記念スローガン「仲間の声と期待を力に全損保らしく歩みつづける」のもと、「人間を大切にする労働組合」として、70年間で実践してきた運動を土台に、企業の枠をこえて集まり、励まし合い、国民的課題の運動にも多くの労働者と連帯して参加する、という「全損保らしさ」を大切に、損保に働く仲間が安心して働ける職場をめざして運動をすすめていきます。私も、この労働組合の先頭に立ち、“人間の視点”、“働くものの視点”を大切に、奮闘していく決意です。
 今年も、みなさんにとってより良き1年となることを祈念し新年のあいさつとします。




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