2012年11月16日
金融担当大臣
中塚 一宏 様
全国金融労働組合共闘会議
議長 浦上 義人


要請書

 リーマンショックで大きな打撃を蒙った欧米では金融再規制の動きが続いています。米国では、「ボルカールール」と呼ばれる証券と銀行の再分離に向けての再規制に着手され、欧州では株式や債券などの取引に課税する金融取引税導入に向けて動き出しています。
 しかし、わが国は、2010年6月18日に閣議決定した新成長戦略で、「金融」を環境や観光と並ぶ成長部門と位置づけ、2020年までにアジアのメインマーケットでメインプレーヤーとしての地位確立を目指すとしました。金融審議会でも、「わが国金融業の国際競争力強化」について論議するとするなど、金融規制から金融振興に軸足を移しています。
 わが国は、1990年代末に、ニューヨーク、ロンドの金融市場に追いつこうとして、銀行、証券、保険の垣根の撤廃、手数料の自由化などを一挙に行いました。それから20年近く経った今、多くの金融機関が過当競争の下で、整理され、銀行、保険、証券の寡占化が進んでいます。
 金融機関が、生き残りをかけて収益拡大をめざす中で、人減らしが行われる中で、一人ひとりに厳しい収益目標が押し付けられています。
 銀行が証券分野に進出する中で、銀行員が投資信託販売のノルマに追われています。保険料率の自由化で、損害保険の職場では、経営不安、雇用不安が蔓延するなど、安心、安定を売る職場とはかい離した状況となっています。証券では、委託手数料の自由化で、営業社員は株式のセールスを止め投資信託にセールスに特化しています。深刻な日本人投資家の株式離れが引き起こされ、株価は低迷を続け、日本経済に深刻な影響を与えています。
 私たち全国金融共闘は、日本経済の健全な発展に資する金融、証券を目指す立場で、自由化・規制緩和路線の見直しと利用者保護、金融機関の法律遵守を求めて、下記事項を要請します。



1.これまでの自由化・規制緩和路線を十分に批判・検証し、金融各業態が業務のすみわけなどによって、国民・利用者に対する社会的役割を果たせるようにすること。

2.各金融機関における投資信託や変額年金保険の販売について、説明義務及び適合性原則の遵守状況を調べ、信用失墜につながるノルマ的販売を行わないよう指導すること。

3.金融機関の労働争議解決とパワハラ防止を指導すること。
(1)渡島信金に不当労働行為事件早期解決を指導すること。きらやか銀行に再雇用拒否事件早期解決を指導すること
(2)労働者の人格を傷つけ精神的な健康破壊につながる嫌がらせ・パワハラを防止するよう金融機関を指導すること。

4.中小企業金融円滑化法」が、2013年3月で再延長期間が終了となるが、中小企業がおかれている厳しい経営環境に鑑み、円滑化法をさらに1年間延長するとともに、その間に地域・中小企業金融円滑化のための恒久法制定を図ること。
以 上



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