春闘宣言

 世界経済は、ユーロ圏でのデフレ懸念の強まり、原油価格暴落による新興国通貨下落などにより、市場の動きが不安定ななか、「危機」の再燃も指摘され先行き不透明な状況は続いています。日本では、安倍政権がすすめる経済政策による株価上昇と円安が、大企業の業績を上昇させ過去最高益を計上する企業も多くなっています。しかし、その「実り」は一部大企業にのみもたらされ、円安の副作用ともいえる原材料など輸入価格の高騰と物価上昇が、中小企業の経営や家計に大きな「重し」となっています。
 こうしたなか政府は、消費税のさらなる増税に向けた環境整備をはかるため、財界への「賃上げ」要請を強めています。これを受けた財界も、傘下企業に賃金の引上げを呼びかけていますが、適正な総額人件費管理の必要性や個別経営事情を優先することを重要視するなど、労働組合へのけん制を忘れておらず、先行きの不透明感を強調し、資本の溜め込みを継続させ、法人税の減税と労働分野の規制緩和を強く求めるなど、企業活動を最優先して労働者を顧みない姿勢は変えようとしていません。しかし、このような国民・労働者に犠牲を強いる姿勢は誰の目にも明らかとなっており、そうした矛盾に対する怒りと行動は広がっています。

 損保でも、大手3グループは12月期決算にて収支改善がさらにすすみ、2グループが過去最高益を記録しています。しかし、国内市場の縮小、多発する自然災害、高騰する損害率、消費税増税など、引続き、取りまく事業環境が厳しいことから経営は強い危機感や焦燥感のもと、「収益力の強化」を最優先に合理化・効率化の動きを一切緩めていません。各社は、事業再編や合併、事業費削減策の具体化として、システム・事務の統合、店舗の統廃合、要員の削減、「働き方の見直し」を急ピッチにすすめています。その歪みや矛盾は、損保労働者すべてに押しつけられ、生活や労働条件を脅かし、働きがいと産業の社会的役割の喪失を生んでいます。
 こうした実態に対して、職場では、不安や不満、疑問や怒りの声が数多く出され、処遇、労働条件を「一歩でも改善してほしい」という切実な思いとともに、賃金水準の引き上げへの期待が強くなっています。
 一方で、経営も、政府から今春闘にて「賃上げ」が求められていることとあいまって、収支改善における従業員の頑張りを無視できない状況ともなっています。

 私たちは、このような情勢と職場の現実を直視し、2015年春闘を、「確信と展望 職場からいまをただし、共感を広げたたかう」というスローガンのもと、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、の3本を柱にたたかいます。支部・独立分会は、いま最も求められる要求と課題として「賃金の改善」を掲げ、全損保統一闘争のもとで、その実現のために全力でたたかいます。地協は、要求を実現するために「交流・共同の場」を一つでも多く築き、地域の仲間が「集まって、語り合って、励まし合う」とりくみをすすめます。また、国民的課題にも視野を広げ、多くの労働者と連帯し、賃金改善とともに、平和で民主的に暮らせる国をめざしたとりくみをすすめます。

 本日確立された春闘方針のもと、諸要求・諸課題実現のため、職場で、地域で、機関と職場が一体となって2015年春闘勝利にむけたたかうことをここに宣言します。


2015年3月11日
全損保 第94回中央委員会



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