秋のたたかいを意気高くとりくむ決議

 世界経済は、いまだ多くの課題を抱え新たな「危機」も懸念されるなど、その動向は極めて不透明となっています。日本では、異次元の金融緩和策による株高、円安効果が薄れはじめ、マイナス金利政策の影響も不透明なものとなっています。さらに物価上昇も続いていることから国民生活にも負の影響を与え、消費が低迷するなか実体経済の各種指標は悪化してきています。また、一部上場の大企業は2年連続で過去最高益を記録していますが、各経営は世界経済の不透明さを理由に、賃金や雇用に資金を使わず、リストラ「合理化」も実施しながら内部留保として366兆円にものぼる巨額の資産を溜め込んでいます。そして、2016年春闘においても、一部大企業ではベースアップ回答があったものの、その水準は昨年を大きく下回り、生活改善をはかるものとはなっていません。

 こうしたなかでも安倍政権は、表向きの大企業業績や経済指標の好調さを強調し、財界、アメリカの要望を優先するかたちで、法人税を前倒しで引下げ、さらなる社会保障の改悪と労基法の大改悪などあらゆる分野での規制改革を目論み、国民・労働者の生活や雇用を脅かしています。そして、安全保障関連法の成立をたてに憲法改悪を押しすすめようとしており、「戦争ができる国」へ突き進む姿に、多くの国民が危機感を持っています。

 こうした危機感は、安保関連法や労働法制改悪に「反対」する抗議の行動を国会周辺から全国各地へ、労働組合・民主団体から主婦や学生層を中心とした市民へ広げ、いまを変える歴史的な変化を現実のものとしつつあります。国民の声や思いが重視され、いのちや暮らし、この国の平和と民主主義が大事にされる「次の時代」を手にする力は、私たちの声と力です。

 損保では、自動車保険の収支改善などにより大手グループをはじめ中堅社も業績は好調に推移しています。しかし、国内市場の縮小や大規模自然災害の多発、不安定な経済状況など将来に向かって事業環境が不透明なことから、経営の危機感は依然として強く、再編「合理化」情勢第二幕はいっそう深まっています。そのもとで急ピッチに進められる再編「合理化」の具体施策は、多様な「歪み」をふりまき、働く仲間の雇用や生活、労働条件を脅かし、働きがいの喪失と「不安」が蔓延する職場をつくりだしています。健全な損保産業の明日や、働きがいのある仕事や生活も、そこに働くものの声と思いから運動をすすめていくことで実現します。

 2017年度、私たちは、激変する情勢に向き合い、視野広く国民的課題にもとりくむなかで、損保に働くものの声と実態を主張し、企業や職場をこえて集まることができる産業別単一組織の良さをもつ全損保という労働組合をいかす努力を重ねていきます。そのためにも、「運動、組織、財政の見直し」の到達点を礎に、その具体化をはかりながら運動を前進させていきます。そのスタートに秋のたたかいを位置付け、〇雇用と人間らしく働ける職場を守る、〇損保産業の社会的役割を守る、〇人間を大切にする労働組合として奮闘する、3本の柱でとりくみをすすめます。働くものの生活と雇用、労働条件を守り抜き、国民的課題にもとりくむ決意をあらためて固め、この労働組合に結集し、秋のたたかいを意気高くとりくむことをここに決議します。

2016年9月21日
全損保第74回定期全国大会



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