秋のたたかいを意気高くとりくむ決議

 今年1月確認された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界中にまん延し、各国では「ロックダウン(都市封鎖)」が行われるなど、市民生活や企業活動に厳しい制限がかけられることとなり、経済活動が停止する事態となりました。日本でも、各種経済指標はかつてなく低下し、企業倒産や解雇・雇止めが急増するなど、国民の不安は増大し、社会活動全体に暗い影を落としています。
 このように、国民の危機が現実のものとなっているにもかかわらず、安倍政権の政治姿勢は真に国民を救うものとはなっていません。営業の自粛要請を受け経営が厳しい状況に置かれた中小企業や個人事業主に給付される「持続化給付金」の支払いは遅れ、事業を閉鎖せざるを得ない事業者も多くなっています。また、大企業を優先する不透明な事務委託の流れも問題となりました。
 こうしたなか、安倍首相が突然辞任を表明したことから、自民党総裁選が行われた結果、本日召集の臨時国会において菅政権が誕生します。しかし、その公約は「安倍政治の継続」であり、これまでの政策が踏襲されることが想定されていることから、財界・アメリカの要望を優先し、平和と民主主義を蔑ろにする姿勢となることが危惧されます。
 今後も、国民の思いに反してすすめられる政治に反対する抗議の行動を国会周辺から全国各地へ、労働組合・民主団体から市民へ広げ、いまを変える歴史的な変化を現実のものとしいていかなければなりません。国民の声や思いが重視され、いのちや暮らし、この国の平和と民主主義が大事にされる「次の時代」を手にする力は、私たちの声と行動です。
 損保では、相次ぐ大規模自然災害によって保険金支払額が増加し続けており、保険本業の収支は悪化しています。さらに今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって、事業環境の先行きがますます不透明となっていることで、企業規模の大小を問わず、損保経営の危機感はさらに強まり、各社の政策すべてが「収益力の強化」をめざしたものとなっています。また、在宅勤務、対面業務の自粛などによって働き方は一気に変化していますが、環境整備が追い付いていないことから個々人へ様々な負荷がかかる状況ともなっています。こうした政策は、働くものの生活と雇用、労働条件を脅かし、働きがいの喪失と「不安」が蔓延する職場をつくりだしています。健全な損保産業の明日や、働きがいのある仕事や生活も、そこに働くものの声と思いから運動をすすめていくことで実現します。  新年度私たちは、結成70周年記念事業で認識し合った到達点と70年間で実践してきた運動を土台に、企業や職場をこえて「人が集まって語り合う」場を大事に、すべての組合員がこの労働組合へ結集し、産業別単一組織の良さをもつ「全損保らしさ」をいかして運動を前進させていきます。そのスタートに秋のたたかいを位置付け、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○損保産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、3本の柱でとりくみをすすめます。働くものの生活と雇用、労働条件を守り抜き、国民的課題にもとりくむ決意をあらためて固め、秋のたたかいを意気高くとりくむことをここに決議します。
2020年9月16日
全損保第82回定期全国大会



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