秋のたたかいを意気高くとりくむ決議

 未だ終息の見通せないコロナ禍、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などが連鎖して、穀物や原油の価格が高騰し、生活必需品を中心とした世界的な物価上昇によって、世界全体の経済には閉塞感が漂い、市民生活に暗い影を落としています。日本でも、新型コロナウイルス感染の拡大は一向に終息する見通しがたたず、コロナ禍で経営が圧迫されている中小零細企業に対する補償は十分とは言えず、将来が見通せない状況に追い込まれています。さらには、大企業の内部留保が過去最高を更新する一方で、物価上昇が家計を圧迫し、個人消費は落ち込み続けており、国民・労働者の不安は増大し、社会活動全体が滞る状況は続いています。

 こうしたなか岸田政権は、従来と同様に経済対策に主眼を置いていることから、感染拡大に対し効果的な対策を打つことができていないばかりか、崩壊が懸念される医療体制の充実やケア労働者の処遇改善は期待とは程遠く、国民の不安に応えるものとはなっていません。さらには、巨額の財政を支出する安倍元首相の国葬、旧統一教会との関係などに対し、十分な説明もなく、説明責任を果たそうとしない政治姿勢は厳しく問われています。

 今後も、国民の思いに反してすすめられる政治に反対する抗議の声や行動を労働組合・民主団体から市民へ広げ、いまを変える歴史的な変化を現実のものとしていかなければなりません。国民の声や思いが重視され、コロナ禍を終息させるもとでいのちや暮らしを守り、この国の平和と民主主義が大切にされる「次の時代」を手にする力は、私たちの声と行動です。

 損保では、全社的に業績は好調となっています。しかし、不透明なコロナ禍の動向やウクライナ危機による経済停滞、スピードが求められるデジタル化への対応など、従来とは次元の異なる課題を抱えていることから、事業環境の先行きに対し損保経営の危機感は、企業規模の大小を問わずさらに強まっています。各社がすすめる政策は、「収益力の強化」をめざしたものとなっており、労働生産性の追求や、コロナ禍を契機とした働き方の急変、「合理化・効率化」を具体化する施策がすすめられ、職場には多様な「歪み」がふりまかれています。こうした政策の歪みや矛盾は、働くものの生活と雇用、労働条件を脅かし、働きがいの喪失と「不安」が蔓延する職場をつくりだしています。健全な損保産業の明日や、働きがいのある仕事や生活も、そこに働くものの声と思いから運動をすすめていくことで実現します。

 新年度私たちは、結成70周年記念事業で認識し合った到達点と70年間で実践してきた運動を土台に、リモートなどを活用し組合員との接点を可能な限りとりながら、「人が集まって語り合う」場の大切さを忘れずに、この労働組合への結集をはかり、産業別単一組織の良さをもつ「全損保らしさ」をいかして運動を前進させていきます。そのスタートに秋のたたかいを位置付け、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○損保産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、3本の柱でとりくみをすすめます。働くものの生活と雇用、労働条件を守り抜き、国民的課題にもとりくむ決意をあらためて固め、秋のたたかいを意気高くとりくむことをここに決議します。
2022年9月21日
全損保第86回定期全国大会



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