秋のたたかいを意気高くとりくむ決議

 コロナ禍への対応やウクライナ危機は、物流の停滞や穀物、エネルギーの高騰を招き、世界的な物価高が続いています。その対策として各国がすすめる急激な金利引上げにより、為替・株式市場が不安定化し、世界経済は景気後退リスクと閉塞感が漂い、市民生活に暗い影を落としています。日本では、大企業の内部留保が過去最高を更新する一方で、歴史的な物価高が家計を直撃し、春闘を経てもなお実質賃金が目減りするなかで、国民の将来不安は、かつてなく深刻化しています。
 こうしたなか岸田内閣は、コロナ禍が終息したかのように、すべての政策は経済対策に主眼が置かれており、崩壊が懸念される医療体制の充実やケア労働者の処遇改善は期待とはほど遠く、国民の不安に応えるものとはなっていません。また、5年間で2倍とすることを前提に防衛費を1兆4千億円増加させる予算を成立させるなど、国民に犠牲を強いる重要法案を数の力で矢継ぎ早に成立させており、こうした姿勢は厳しく問われています。
 今後も、国民の思いに反してすすめられる政治に対する抗議の声や行動を労働組合・民主団体から市民へ広げ、いまを変える歴史的な変化を現実のものとしていかなければなりません。国民の声や思いが重視され、いのちや暮らしを守り、この国の平和と民主主義が大切にされる「次の時代」を手にする力は、私たちの声と行動です。
 損保では、自然災害やコロナ禍からの回復に伴う自動車事故の増加、火災保険の収支悪化などにより、全社的に減益となっています。加えて、不透明なコロナ禍の動向やウクライナ危機による経済停滞、スピードが求められるデジタル化への対応など、従来とは次元の異なる課題を抱えていることから、事業環境の先行きに対する損保経営の危機感は、企業規模の大小を問わずさらに強まっています。各社がすすめる政策は、「収益力の強化」をめざしたものとなっており、労働生産性の追求や「合理化・効率化」を具体化する施策がすすめられ、職場には「歪み」がふりまかれています。こうした政策の歪みや矛盾は、働くものの生活と雇用、労働条件を脅かし、職場には働きがいの喪失と「不安」が蔓延しています。健全な損保産業の明日、働きがいのある職場や生活の改善を実現させていくためには、そこに働くものの声と思いから運動をすすめていくことが重要です。
 新年度私たちは、結成70周年記念事業で認識し合った到達点と歴史のなかで実践してきた運動を土台に、リモートなどを活用し組合員との接点を可能な限りとりながら、「人が集まって語り合う」場の大切さを忘れずに、この労働組合への結集をはかり、産業別単一組織の良さをもつ「全損保らしさ」をいかして運動を前進させていきます。そのスタートに秋のたたかいを位置付け、○雇用と人間らしく働ける職場を守る、○損保産業の社会的役割を守る、○人間を大切にする労働組合として奮闘する、3本の柱でとりくみをすすめます。働くものの生活と雇用、労働条件を守り抜き、国民的課題にもとりくむ決意をあらためて固め、秋のたたかいを意気高くとりくむことをここに決議します。
2023年9月20日
全損保第88回定期全国大会



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