スコープNIU

全損保結成60周年 記念シンポジウム 2009年11月12日 於)星陵会館
「今ここにある」全損保
値打ち、期待、語りたいこと
吉田  ありがとうございました。もう一つ踏み込みたいという思いもありますが、時間の関係があります。「今ここにある」全損保の値打ちはどこにあり、何を期待するのか。そして、再編「合理化」情勢が再び深まる中で、どう役立てていくのか。そうしたことに触れていただいてこのシンポジウムをまとめていきたいと思います。ここで、外から見たら全損保はどう見えるのかということでお二方に発言をお願いしております。
 お一人はDVDで登場していただくことになりますが、青山学院大学経済学部教授の本間先生です。

損保らしさを支える存在
あなたと損保の明日をつくるため、結集を
本間  損保の仕事というのは社会と人々の状態、リスクの状態をきちんと把握するということがまず第一歩です。そういう意味では科学的な合理的な仕事だと思います。私自身、30年も前ですが、8年間損保の仕事をし、青年婦人部や職場委員とかだけですけれども、全損保の組合員としてもやっていた時期があります。その損保らしさ、損保事業というものを働く立場から支えてきたのが全損保ですね。
 敗戦でそれまでの経営者が戦争責任を負ってパージされました。新たに若い人たち、あるいは中堅どころが、全損保という組織を作っていきましたが、そのときの合い言葉が保険は平和の子なのだということです。それが全損保の原点です。平和の子として、平和を守るために、自分たちの平和産業をどうやって発展させるのかというところから出発したわけですね。全損保の活動家からは立派な経営者になった方もたくさんでてきました。戦後間もなくの全損保の原点、それが一定の期間まで保険事業、保険経営にまでいかされていたと思うのですね。それが、途中からどうも違うようになってきて大変困ったことです。
 バブル経済、そしてそのつけをどうやって穴埋めするのか、そのために「不払い、取り過ぎ」という問題を起こしたわけですね。現在につながる一連の流れが「自由化」答申以降ずっと来ているわけです。その間に保険事業は、きちんと物事を見る、リスクを見る目を失ってきたのではないか。その結果、事業そのものをダメにしてきた。それにブレーキをかけ、保険というものはこうあるべきだと言う、提起をしてきたのが全損保です。
 私は、全損保を、組合員だけではなく、日本の保険事情にとってかけがえのない存在だと思っています。「不払い、取り過ぎ」、またその処理のためにメガ損保へということになっていますが、ただ大きくなれば企業が健全になるということではありません。次々に離合集散を繰り返し、合従連衡をして大きくなってきた、その過程で保険事業の原点を失ってきたという経緯があるわけですから、やはりメガバンクあるいはメガ損保という方向には健全な事業というのは生まれないのではないかと思います。そのことをいっそう強く見ていく必要があります。
 また、そういう目を持った人が育ってこなければいけないですね。仕事と自分たちの目を守るためにも全損保という組合が必要だと私は思うのです。そのなかから新しい保険事業を担う人々、そういう人材が育ってきてほしい。一人ひとりは、損保のある部分の仕事を一生懸命やっているのですが、そのことをもっと広い目で、長い目で見ていく。そういう人たちが育ってくる。そしてその目を大事にするような保険経営であってほしいし職場であってほしいと思いますね。きちんとものを見て先を見てものをいっている人や組合を目の敵にするなんてことはあっていけないし、やっぱり経営者はそういう人たちを受け止める度量をもつべきだと思います。そうしたら、本当に面白い事業になってきます。私は、そういう意味では、1人の研究者として保険事業の、それから損保の応援団というつもりでやっていきたいと思っているのです。
 みなさん、なかなか大変な状況だと思いますが、きっとみなさんの苦労は報われ、やっぱり保険の仕事をやっていてよかった。俺は損保マンなのだ。私は損保ウーマンなのだ。損保パーソンだ。きっとそう思えるようになると思います。つらいこともあるでしょうけれども、ぜひ全損保という組合に結集してみんなで支えあっていってほしい。それがあなたを守り、あなたをつくり、そして明日の損保をつくっていくことができる道だと思います。ぜひ頑張ってください。期待していますよ。

単一の組合はすばらしい
多面性もち、60年続く全損保に自信を
吉田  会場には、全証労協議長の松井さんに来て頂いています。ぜひ、お話をお願いします。

松井 松井  証券の労働組合との一つの大きな違いは、全損保は一つの組合で、各支部があるということ。まさにみなさんが全損保に直接加盟しているということです。例えば、なんとか労組、なんとか労組と企業別の組合が連合しているのではなく、単一の組合だという組織原則は非常に大切で、非常にいいと思うのです。そのことがあるから60年間もこういうふうにきっちりと運動できたのだと思います。
 日頃、「全損保らしさ」という言葉を良く聞きます。それが何かは、よくわからなかったのですが、ここでわかったのは、一人ひとりの要求を大切にして、下から積み上げて、運動を起こしていく。上意下達みたいに勝手に決めて強引に運動をしていくのではなしに、それぞれ下から積み上げて運動を起こしていくから、何かをやる場合にちょっと時間がかかる。証券の場合には小回りが非常に利くので、争議などで速さが大部違うと思ったのですが、それは、本当に労働組合らしさ、民主主義の観点からやっていることの結果で、非常にすばらしいことだと思います。
 私は、何十年、ほとんど争議でのつきあいです。全損保にも非常に多くの闘争がありましたが、その反面で、白馬のサマージャンボリーとか女性のつどい、それから広島に毎年行って平和のとりくみを行っている。非常に多面的なところがすばらしいと思います。組織の寿命は、50年といわれることも多く、損保産業も非常に栄枯盛衰があって会社単位で見ると60年間一つの名前も変わらず、一つの会社だということはほとんどないと思います。その一方で、全損保は名前も変わらず、方針も変わらずきっちりやっているという非常にすばらしいと思います。これに自信を持ってますます発展していくように、私も陰ながら応援しますので今後ともよろしくお願いします。





←前のページへ  このページのTOPへ  次のページへ→