日動外勤のたたかい

写真:審問後の報告集会であいさつする川田さん
審問後の報告集会であいさつする川田さん

東京海上日動の
不当労働行為を
糾弾
中労委で審問行なう

 1/22、東京海上日動社が、全損保日動外勤支部に行なった不当労働行為事件で、中央労働委員会の審問が行われました。

写真:弁護団の面々(平井弁護士があいさつ) 写真:審問後、傍聴者含め70名が結集
弁護団の面々(平井弁護士があいさつ)

審問後、傍聴者含め70名が結集


 2004年5月の組合分裂攻撃のもと、合併前の日動火災は、全損保日動外勤支部を労働組合としても認知せず、組合員の給与から勝手に「組合費」をチェックオフ(給与天引き・合計約200万円)し、多数派労組に引き渡すなどの異常な組合攻撃を続けました。合併後の東京海上日動火災経営者も、団体交渉には応じたものの、組合活動、便宜供与、組合費チェックオフなどについて、露骨な差別を続けてきました。全損保日動外勤支部は、差別をやめるよう強く交渉を進めましたが、会社はこれを拒否したため、東京都労働委員会に提訴し、2007年5月には、同労働委員会は組合側の主張を全面的に認め、会社に不当労働行為救済命令を下しました。会社はこれを不服とし、不当にも中央労働委員会に再審査請求を行なっていたものです。
 審問では、まず会社側証人として、旧日動火災でも人事部門に所属していた東京海上日動火災人事企画部・大塚竜二証人が証言に立ちました。会社側主尋問では組合分裂後の多数派組合と会社の経営協議会やその後の全損保外勤支部との交渉経過などを証言しました。しかし、反対尋問では、はからずも、組合差別を自ら裏付ける証言を繰り返しました。会社は、支部に対して規約上の手続きに疑念があるといいがかりをつけて組合としても認知しないという不当な態度をとり続け、一方の多数派労組の言い分をただちに了解しました。その点については次のようなやり取りがありました。

弁護士 「労働協約を契従労(「脱退」後の新労組)が引き継いだことを会社が認定した根拠は何ですか?」
証人 「規約に則って適正に召集された大会で決議されたことだからです」
弁護士 「当時の執行部は支部規約のどの条文で組織脱退を決議したのですか?」
証人 「そこまでは承知していません」
弁護士 「大会の諸規則、支部規約のどこを見ても団体脱退などという規約は存在しないが、その点のチェックはどうしたのですか?」
証人 「チェックしていないし、確認する必要はないと考えました」

 規約も調べもせずに、一方の組合には規約上疑義があると言い、一方の組合は規約に則っているなど、どうしていえるのでしょうか。

 引き続き、東京海上日動火災の人事企画部・佐伯証人が証言に立ちました。支部組合員の給与をチェックオフし契従労(多数派労組)に引き渡した問題に関し、1966年の全損保東京海上支部分裂の際には、会社が返還に応じていたことの経緯などを中心に証言。当時の対応は異例であると強弁し、組合費の返還に応じないことを正当化しました。しかし、反対尋問では次のようなやり取りが。

弁護士 「…日産自動車事件最高裁判決はご存知でしたね?」
証人 「知っています」
弁護士 「そういう最高裁判決があるにもかかわらず、便宜供与について平等、公平に扱ってこなかったのはなぜですか?」
証人 「便宜供与については会社の裁量で行なうもので、その組合の規模や沿革に基づいて、合理的な差があれば必ずしも同一にしなければならないというものではないと考えています」

 要するに、最高裁判所判決も無視して、経営者の考え方や裁量を優先させるということです。これは、外勤社員制度廃止問題でも一貫した姿勢であり、法令遵守が何よりも大事な保険会社として許されない態度です。

 最後に、組合側証人として全損保日動外勤支部川田書記長が証言に立ちました。川田証人は、組合分裂前に経営者が前支部執行部に圧力をかけていた事実や、職制層の組合員への干渉、外勤社員の追い出しにつながった組合差別の実態を、赤裸々に語りました。また、会社が否定している、団交応諾や便宜供与については「友好的な労組かどうかが大きなポイントになる」という発言について、団交で、当時の人事企画部貞道氏がはっきりと発言したことを明らかにするなど、会社の組合差別の実態が改めて明確になりました。

 中央労働委員会の審議はこれで結審となりました。会社の組合差別は、動かしがたい事実です。一方では、東京地裁の判決に従わず、外勤社員制度の切り捨てにこだわり続ける東京海上日動火災。損保トップカンパニーの法令遵守、労働CSRの姿勢が鋭く問われています。



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