新年のご挨拶


損保に働く者の声と思い
実態から運動をすすめていこう



2013年1月 全損保中央執行委員長 浦上義人

 昨年は、世界全体で「不安」が高まり、その解消をどのようにしていくのかが問われる1年でした。そして日本でも、先行き不透明な世界経済危機を背景に、長期低迷が続く日本経済のもとで、震災や原発事故からの復旧・復興は思うように進まず、業績が悪化する大企業では、収益確保のためのリストラ策を矢継ぎ早に発表しており、国民の多くに生活や雇用への不安をもたらしています。このようななか、この国の政治は、安心して暮らせることを願う国民の声や思いとは逆行する形で進められています。今後も総選挙の結果発足した政権が、真に国民の願いをかなえる政治を行うのかを十分注視していく必要があります。

 損保産業も、経済の低迷に加えて、大規模自然災害の多発により、各社の収益は圧迫されており、各社経営の危機感はかつてなく強まっています。その危機感の強まりにより打ち出される政策は、収益確保と収益力の強化を第一に、海外でのM&Aと国内での顧客囲い込み、再編による徹底した人件費・物件費の削減など効率化を進めるものとなっています。各社では、「年中キャンペーン」とも言われるように、各部門の諸数値が全てキャンペーンに組み込まれ、その数字を達成するための営業督励や個人責任の追求が強まっており、さらなる収益確保、効率化の過当競争の激化が懸念されています。その政策の歪みは職場に直結し、「お客さまのために」と願って働く仲間に、「そうなっていない」と思わざるをえない矛盾や不安を与えています。

 全損保では、一昨年秋から昨年の春闘期間まで、「集まって、語り合って、記載する」運動として、『一人一言』運動にとりくみ、6,235名の声や思いを集約しました。その声を紹介する冊子「時代をみつめ明日につなげる」には、変質している損保を憂うる声、働きがいを見出せない悩み、厳しい生活・労働実態などが切々と語られています。「人々の暮らしを支える『保険』はどこへ」、「『お客様の笑顔のため』が『会社の笑顔のため』に」、「『今。人が足りない』が共通語」などなど、真剣に、そして強く思いを語っています。これらの声や思いが将来に向けて健全な損保産業、働きがいの持てる職場を実現し、働く者の不安を解消する大きな力になると信じています。

 昨秋から、この声や思いを組織の内外に広く発信し、働く者の実態から運動を進めてきています。今春闘に向けても、職場での話し合いに、経営との交渉に、行政への申し入れに、あらゆる機会を通じて、損保に働く者の声を伝えるとりくみをすすめ、具体的な改善に向けたとりくみを行うこととしています。

 この1年も、『一人一言』運動の到達点を土台に、多くの組合員が組合の場に集い、語り合って、損保産業の健全な発展と、将来展望と働きがいをもって働ける職場の実現、生活と雇用、労働条件を守るために、運動をすすめていきましょう。



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