新年のごあいさつ


職場の声から運動を



2015年1月 全損保中央執行委員長 浦上義人

 昨年は、株価上昇と円安などの効果で大企業が莫大な利益を上げましたが、その「実り」は、企業の内部留保として溜め込まれるのみで、労働者の賃金や雇用には還元されていません。加えて消費税増税と物価上昇の影響から春闘を経てもなお労働者の実質賃金は下がり続けています。さらには、労働法制の大改悪が具体的に論議され、集団的自衛権の行使容認を臨時閣議で決定するなど、日本の平和と民主主義の危機が深まった年でもありました。

 こうした情勢のもとで、損保の再編「合理化」情勢は不透明に深まっています。他産業と同様、大手グループを中心に株価上昇や海外でのM&Aによる収益確保により当期利益は拡大しています。一方で、保険本業においては、自動車保険等級制度の改定やアンダーライティングの強化などにより収支が一定改善してきていますが、多発する大規模自然災害や自動車保険の損害率の高止まりなどにより、収支構造の改善は思うように進んでいません。このような状況から、再編「合理化」の具体化は急ピッチで進められています。「収益確保と収益力の強化」を第一に、顧客囲い込みを強化しながら、グループ内におけるシステム、事務などの統合による効率化と要員削減の徹底をはかるなど、規模と効率化を追求する競争が進んでいます。このような競争に巻き込まれる中堅社も事業費の削減を徹底しており、企業規模の大小を問わず、働くものの生活と雇用、労働条件が脅かされています。加えて各社が収支構造のさらなる改善に向けて、保険料の引き上げ、引受規制の強化を進めていることから、顧客にも大きな影響を与えています。職場では、「お客さまのために」と思って業務にあたっていますが、「そうなっていない」と思わざるを得ない矛盾や不安も生じています。

 このようななか迎えた2015年は、何よりも国民や働くものの声や願いが優先される年にしていかなければなりません。そのためにも、いまが国民・労働者の声と力で情勢を変えられる歴史的転換点であることに確信を持ち、いのちとくらし、平和と民主主義を守るため、働くものが声をあげ労働組合をいかして運動をすすめていくことが求められる1年になります。

 今年も全損保では、企業や職場の枠を越えて集まれる産業別単一組織という良さを発揮し、組合員が「集って、語り合って、励まし合う」とりくみをすすめていきます。不透明な情勢を見定め、損保に働く仲間の声や思いから、真に健全な損保産業と職場を取り戻し、働くものの生活と雇用、労働条件を守るため、運動を前進させていきます。



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