労働法制改悪の動向と
損保の職場に与える影響を考える


4・22春闘決起中央集会に56名が参加

講演を熱心に聞く参加者
講演を熱心に聞く参加者


 4月22日(水)、東京で、「4・22春闘決起中央集会〜労働法制改悪の動向と損保の職場に与える影響を考える〜」を開催し、10支部1独立分会と友好労組から56名が参加しました。

労働法制改悪の危険性を訴える菅弁護士 春闘報告を行なう浦上委員長
労働法制改悪の危険性を訴える
菅弁護士
春闘報告を行なう
浦上委員長
 本集会は、2015年春闘における全損保統一行動週間のメイン行事に位置づけ、講演では、残業代ゼロ制度や派遣法の改悪など、労働法制の改悪法案が国会に上程される状況のなか、政府・財界の狙いやその内容を学ぶとともに、労働者への被害や損保の職場に与える影響を考えるために、日本労働弁護団事務局長の菅俊治弁護士(東京法律事務所)をお招きしました。また、全体の春闘情勢、全損保春闘の報告も行ない、自主交渉打切日に向けた春闘決起の場として開催しました。

 菅弁護士の講演では、労働法制改悪の動きについて、政府が岩盤規制を突き崩すために、内閣府における「経済財政諮問会議」、「産業競争力会議」、「規制改革会議」を活用して、反対意見を排除しながら進められる論議内容を紹介されました。
 そのなかで、政府が狙う将来像として、「労働力の需要と供給を調整できる機能を究極まで追求するものである」と、労働者がいらなくなれば市場に戻せる仕組みづくりを狙っている危険性を訴えられました。そのうえで、第一陣として改悪が狙われている「労働者派遣法」について、「本来は限定的であった派遣労働を無期限に、どの業種でも使えるようにするもの」と、その問題点を指摘。そして、第二陣として政府が実現をめざしている「労働時間規制の緩和」については、世界でもトップクラスにある日本人の長時間労働の実態や労災申請・認定状況が過去最悪で推移していることを説明したうえで、現在審議されようとしている「企画業務型裁量労働制の大幅拡大」、「高度プロフェッショナル制度の創設」について、具体的な事例をあげながら説明されました。
 そのなかで、現行法と今次法案の違いにふれ、現行法では、裁量労働の対象層について、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務…」となっているものを、今次法案では「法人である顧客の事業の運営に関する事項について…」と変えていることを例にあげ、「ほとんどの営業職が裁量労働の対象になる可能性がある」とし、損保でも営業担当者の多くが裁量労働にされる可能性があるなど、多くの労働者が時間規制の枠外で働かされる危険性を強調しました。
 最後に、「このような労働法制改悪がまかり通れば、労働者の雇用は不安定になり、無権利状態となって職場でモノを言えなくなってしまう。損保にはすでに裁量労働制が多くの職場で導入されているが、さらに対象者が広がる危険性もある。労働者の雇用や労働、職場を守るためにも、それぞれの持ち場でたたかい、改悪を阻止しよう」と、労働組合が視野広くたたかうことを訴えました。

 次に、浦上委員長が春闘の全体情勢を説明したうえで、全損保のたたかいの状況について、既に回答のあった三井住友支部、ACE支部の回答内容とその到達点を説明し、「損保各社の決算は好水準が見込まれており、職場には賃金改善への期待が高まっている。その意味からも自主交渉打切日に向けた労働組合のたたかいが重要となる。最も大事なのは職場からたたかうことであり、そこを力に要求実現に向けて奮闘しよう」と自主交渉打切日に向けて各支部の奮闘を訴え集会を終了しました。


参加者の感想より
会社がやってきたことの意味があらためてよく分かった気がします。法案づくりの過程がいかに非民主的なものかを知って愕然としました。「知らせない」ことがあちらの戦略であることも実感しました。最大の問題は、多くの人が今なにが起きようとしているのかを知らないことだと思います。やはり広げる運動が必要ですね。
複雑な労働法についてとても理解しやすかったです。今の政府の政策や立法が不安になります。私は40代半ばですが、これから働いていく若い世代の未来はとても難しいと思います。企業が人材育成や責任を放棄したようにも思えます。今後、誤った方向性が修正される時代が必ず来ると思い頑張っていきたいです。
菅先生のお話を伺い、私たちの知らない所で労働条件が改悪され、今まで労基法で守られている部分が労働法制の改悪により働く条件がより悪くなると心配になりました。どこに、誰に苦悩を訴え、規制してもらえるのか分からなくなりました。日々仕事に追われる毎日を過ごしているだけの自分としては、全体の動きの中の労働を見つめる良い場となりました。
弁護士さんの話を聞く機会はめったにないので、興味深く聞かせてもらいました。派遣の件…とても勉強になりました。以前から派遣会社には疑問を持っていたので…。
最近、労働者に関する法律がおかしくなってきたと思っていたが、これほどヒドイ状況になっていて、さらに進められる予定ということに驚いてしまいました。テレビの情報は最近どうもおかしいと思っていましたが、やっぱりネ!という感じです。テレビや新聞では得られない情報が今日聞けて良かったです。が、のんびりはしていられないと思いました。個人がしっかりしないとひどい世の中になってしまいますね。



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