新年のごあいさつ

70年の歴史で築いた到達点を土台に
全損保らしく歩みつづける

2021年1月 全損保中央執行委員長 浦上義人

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、全世界の経済状況が一変しました。都市封鎖などで人の移動が制限されたことによって、旅行需要がほぼ消え、世界の貿易量が二桁減少し、各企業の業績が激減するなど、1930年代の大恐慌時と比べられるほどの経済規模の急激な縮小が起こりました。このことで倒産や解雇が急増し、働けなくなった世帯の所得が低下しています。日本でも同様に、全産業の経常利益が約5割も減少し、企業経営、自治体財政、雇用にも大きな影を落とし、国民の生活不安が高まった1年でした。しかし、政府が進める対応は後手に回り、感染症の拡大は収まっていません。

 損保では、大手グループをはじめ中小社の業績が、大規模自然災害による保険金支払いの増加、再保険料率の上昇や準備金の積み立て不足という課題も生じるなど、保険本業の収支を圧迫しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済停滞もあって、事業環境の先行きがさらに不透明となっていることから、企業規模の大小を問わず損保経営の危機感はさらに強くなっています。そのもとで、大手グループは国内での徹底した顧客囲い込みを通じてマーケットシェアを競い合い、海外事業や新規事業領域を推進することで収益の拡大をめざしています。中小社もこうした競争に巻き込まれていることから、各社の政策すべてが「収益力の強化」をめざしたものとなっています。こうしたなか、新型コロナウイルス対策として、出社率を制限し、在宅勤務、対面業務の自粛など、損保に働く者の働き方が一気に変化しています。一方で、在宅勤務にかかわる環境整備が追いつかず、個々人に様々な負荷がかかっています。さらには、労働生産性を追求する動きも強まり、店舗の統廃合や事務集中による要員削減をすすめ、役割や働き方の「改革」や女性や中高年の「活用」も全社的に広がっています。こうした施策は、職場に多様な「歪み」をふりまき、働く仲間の雇用や生活、権利、労働条件を脅かし、働く者の誇りと働きがいの喪失と「不安」が蔓延する職場をつくりだしています。

 このようななか迎えた2021年は、何よりも国民や働くものの声や願いが優先される1年にしていかなければなりません。そのためにも、いまが私たちの声と力で情勢が変えられる歴史的転換点であることに確信をもち、いのちとくらし、平和と民主主義を守るため、働くものが声をあげ、労働組合をいかして運動をすすめていくことが求められています。

 昨年全損保は、結成70周年記念事業を核に運動をすすめました。そのなかでは、全損保が70年間で築いてきた成果と到達点、教訓を全体で認識し合うことができました。一方で、例年春闘期間を中心に、多くの組合員がつどい全損保にふれる場であった各地域の「交流・共同の場」を開催することができないなど、労働組合が最も大切にしてきた「人が集まって語り合う」ことに課題の残る1年でもありました。
 今年は、こうした課題を克服する努力が求められています。そのうえで、企業や職場の違いをこえて「人が集まって語り合う」ことの大切さを大事に、運動をすすめていくこととしています。70周年記念スローガンとして掲げた「仲間の声と期待を力に全損保らしく歩みつづける」を今年も大切に、リモートの活用など新たなとりくみ方も工夫しながら、すべての組合員が全損保に結集し、産業別単一組織の良さと役割、機能をいかして、損保に働く仲間が安心して働ける職場をめざしていきます。私も、この労働組合の先頭に立ち、“人間の視点”、“働くものの視点”を大切に、奮闘していく決意です。
 今年は、みなさんにとってより良き1年となることを祈念して新年のあいさつとします。




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