「人が集まって語り合うこと」の大切さを
忘れず、組合員すべての力を結集し
「賃金水準の引き上げ」をかちとる
2022年春闘方針を全員一致で確立
全損保第85回定期全国大会を開催
春闘勝利にむけ団結ガンバロー
春闘勝利にむけ団結ガンバロー


 3月16日、全損保第85回定期全国大会を東京(エデュカス東京)において開催しました。

開会あいさつの西田賃対部長 議長の竹場代議員(Chubb Japan支部)
開会あいさつの
西田賃対部長

議長の竹場代議員
(Chubb Japan支部)

 大会は、西田常任中執(賃対部長)の開会のあいさつにはじまり、竹場代議員(Chubb Japan支部)を議長に選出した後、来賓として国民春闘共闘の黒澤事務局長、全国金融共闘の金子事務局長、友好労組である損保料率機構労組の鈴木委員長、大同労組の伊佐委員長はリモートで、それぞれ挨拶を受けました。その後、及川書記長が一般経過報告、中島財政部長が一般会計収支中間報告、石綿会計幹事が監査報告を行い、大同損調労組、自賠責損調労組からのメッセージ代読の後、浦上委員長が議案第1号「2022年春闘方針」を提案しました。

第1号議案を提案する浦上委員長
第1号議案を提案する
浦上委員長

 提案では、11年経った東日本大震災について、いまなお避難生活を余儀なくされている被災者、被災地の現状にふれ、あらためて政治や経済が被災地の方々が安心して暮らせるための生活の復興、地域の復興へ果たす役割の重要性とともに、全国各地で起こる大規模災害で被災者の暮らしや街の復興を下支えしたという損保の担った役割の重要性を強調しました。
 そのうえで、相次ぐ変異種の出現によってロックダウンや在宅義務化などの行動制限がくり返され終息の目途がたたない新型コロナウイルス感染症の拡大に加えて、ロシアによる国際法を無視したウクライナへの軍事侵攻もあって、悪化が懸念される世界経済について説明しました。日本については、昨年8月以降に行動制限が緩和されたことから、9月期決算で全産業の純利益額が前年と比べて2倍の水準になり、2021年が株高の1年であったことにもふれたうえで、「こうして生み出された利益は、コロナ禍で苦しむ国民の生活改善や雇用の拡大には回っていない」とし、大企業の内部留保が過去最高を更新するなかで、実質賃金が減少し、落ち込みが続く個人消費の状況、コロナ禍を理由とした解雇や雇止め、人員整理のための希望退職募集の増加など、国民・労働者の雇用が脅かされ、暮らしにも大きな影響を与えている状況を明らかにしました。そのうえで、「国民が求めているのは、感染拡大の終息と、富の一極集中ではなく、『誰もが景気が良くなった』と実感できる経済体制への転換である」と強調しました。そして、コロナ対応で国民の不安に応えず、「政治とカネ」の問題などに対し、事実を説明せず明らかにしない政権の姿勢を批判しました。加えて、国民に不安をもたらす各種成長戦略、安保関連法の具体化による「戦争ができる国」づくり、改憲動向の強まりなど、平和と民主主義を破壊する動きが強まっている状況について、その危険性を指摘しました。また、政府の「賃上げ」要請を受けた経団連が、コロナ禍で業績がばらついていることを背景に、一律の賃上げを否定する姿勢について、「労働者・国民の生活を顧みない身勝手な姿勢である」と指摘しました。
 一方で、「国民の声と行動が変化を生む」という「歴史的転換点」にある時代の特徴にふれ、「こうした政策をすすめる政権に対する国民の目は厳しくなっており、政治課題で多くの国民が『NO』の意思を示し、市民が『反対』の声をあげて行動が広がっている」と強調し、「声に出して行動を起こせば、時代が変わる歴史的転換期であり、私たちが安心して暮らせる国にするためのせめぎあいが続いていることを確信に、声に出し力を結集してたたかうことで、私たちの明日を手にしていこう」と訴えました。
 損保情勢では、自然災害の発生が少なく大手3グループ全てが過去最高益を見込むなど、全社的に堅調な業績動向を説明したうえで、人口減少や自動運転技術の進展による既存市場の縮小、払拭されない大規模自然災害の発生懸念に加え、不透明なコロナ禍の動向、スピードが求められるデジタル化への対応など、「事業環境の先行きが不透明さを増していることから、経営の危機感は依然として強くなっている」とし、中小社も巻き込んで損保各社の政策すべてが「収益力の強化」をめざしたものとなり、「合理化・効率化」、労働生産性を追求する動きが強まっていると指摘しました。こうしたなか、コロナ禍への対応として在宅勤務などテレワークが推進され働き方が急変している状況にふれ、「在宅勤務で人間関係(コミュニケーション)が疎遠になる」との声が多く出されていることを紹介し、「急激にすすんだ働き方の変化は、働く仲間に多くの疑問や不安をもたらしている」としたうえで、「経営は、その環境整備は後回しに、労働生産性の向上を理由に今後もこうした働き方をすすめようとしている」とし、会社責任で働きやすい環境整備を求めていくことの必要性を強調しました。また、「早期支払い」を指標に競争が激化する災害対応も含めて各社政策の歪みや矛盾がすべての損保労働者に押しつけられ、生活と労働条件を脅かし、働くものの誇りと働きがい、産業の社会的役割を喪失させていることを職場の実態から説明し、将来不安がさらに高まっている状況を訴えました。一方で、賃金水準の引上げに対する職場の期待と要求が例年以上に高まっているアンケート結果を紹介しました。そして、昨春闘同様に、「人が集まることに困難さがある」としたうえで、「全損保には、常に組合員一人ひとりの声と思いを大切にして、どのような困難な事態にも怯まず乗り越えてきたという70年のたたかいがある。その経験と教訓、昨春闘の成果や到達点を力に、2022年春闘もすべての支部・独立分会が『賃金水準の引き上げ』を柱とした要求に固執し、この労働組合に組合員が結集して自らの手で展望をきりひらく春闘にしていこう」と訴え、春闘の具体的な方針を説明しました。

討論をまとめる及川書記長 佐藤副委員長が閉会のあいさつ
討論をまとめる
及川書記長

佐藤副委員長が
閉会のあいさつ

 この提案を受けた議案審議では、計21名の中執、代議員、オブザーバーから活発な発言がありました。損保の社会的役割発揮とかけ離れた各社政策やコロナ禍での働かされ方の問題点、要員が圧倒的に不足し「歪み」が持たらされる職場の現実、雇用や労働条件に対する不安の高まり、各社政策への疑問や問題意識が出されました。一方で、労働組合として最も大切にしなければならないのは「人が集まって語り合うこと」であり、そのことを忘れずに企業をこえた組合員のつながりの必要性が語られました。
 審議の最後に執行部を代表して及川書記長が討論のまとめをおこない、2022年春闘方針が全員一致で確立されました。審議終了後、春闘宣言が採択され、佐藤副委員長の閉会挨拶・団結ガンバローで全国大会を締めくくりました。

 この全国大会で確立した春闘方針に従い、各支部・独立分会は3月17日一斉に要求書を提出し、「要求に確信をもって組合員の力を結集し、職場からともにたたかう」全損保の2022年春闘が本格的に始まりました。



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