新年のごあいさつ
「集まって話し合う」ことの
大切さを忘れず
安心して働ける職場をめざして
運動をすすめる

2023年1月 全損保中央執行委員長 浦上 義人

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は、長期化するコロナ禍とウクライナ危機が、資源高と供給規制が連鎖したコスト上昇による歴史的な物価高を引き起こし、経済・企業活動、市民生活、労働者の雇用へ負の影響がもたらされました。また、インフレを抑制するとして各国では政策金利を引き上げる動きを強めており、金融市場にも混乱が生じました。日本では、全国的な行動制限をおこなっていないことから、大企業の業績は堅調となっていますが、その利益は内部留保として溜め込まれ500兆円を超えています。一方、コロナ禍と物価上昇は、中小零細企業の経営を圧迫し、実質賃金が下がり続け家計を直撃するなど、国民の将来不安が高まった1年でした。

 損保では、火災保険の収支悪化は顕著になっていますが、2021年度は自然災害の影響が少なく、資産運用が好調なことなどを要因に、全社的に業績は好調となっていました。しかし、事業環境の先行きに対しては、これまで経営が注視していた要因に加え、不透明なコロナ禍の動向、ウクライナ危機の長期化による経済停滞、スピードが求められるデジタル化などへの対応もあって、損保経営の危機感はさらに強くなっています。そのもとで、大手グループは、マーケットシェアを競い合い、海外事業や新規事業領域を推進することで収益拡大をめざしています。中小社もこうした競争に巻き込まれ、各社の政策すべてが「収益力の強化」をめざしたものとなっており、「合理化・効率化」、労働生産性を追求する動きも強まっています。そして、在宅勤務などテレワークによって働き方は一変しました。一方で、職場によってその対応はまちまちになり、業務がすすめづらい職種もあります。さらには、人間関係やコミュニケーションが不足する課題も明らかになっています。このように、職場運営の方針が定まっていないなかでも、「労働生産性を高める」ことが主眼におかれ、環境整備も不十分なままにこうした働き方がすすめられています。また、大規模自然災害への対応はいまだにマンパワーで乗り切り、「早期支払い」を指標とした競争がすすめられていくもとで、被災者のために「保険金を適正に支払う」という損保本来の役割は歪められています。こうした施策は、働く仲間の雇用や生活、権利、労働条件に影響を及ぼし、働く者の誇りと働きがいの喪失、「不安」の増大につながる懸念があります。

 このようななか迎えた2023年は、何よりも国民や働く者の声や願いが優先される1年にしていかなければなりません。そのためにも、働く者が声をあげ、労働組合をいかして運動をすすめていくことが求められています。

 昨年全損保は、コロナ禍で困難さがあるなかでも、「集まって話し合う」ことの大切さを忘れずに、感染対策を徹底したうえで、春闘決起中央集会やサマージャンボリーなどを開催し、「集まって話し合う」場をつくる努力を重ねました。さらには、新たな試みとしてリモートによる「地域組合員との意見交換会」を6地域でのべ16回開催し、普段会うことが難しい組合員との接点をもつなど、コロナ禍でも工夫し協力し合えば、運動を前進させることができるという確信を持つことができた1年になりました。
 今年も、企業や職場の枠をこえて「集まり、話し合い、励まし合える」良さを大切に、リモートなども活用することで地域の組合員との接点をもちながら、すべての組合員が全損保へ結集し、産業別単一組織の良さと役割、機能をいかし、損保に働く仲間が安心して働ける職場をめざして運動をすすめていきます。私も、年頭にあたってこの労働組合の先頭に立ち、奮闘していく決意を新たにしています。
 今年は、みなさんにとってより良き1年となることを祈念して新年のあいさつとします。







このページのTOPへ